いわゆる三大介護の中に含まれるのが、食事介助です。施設で介助をする場合、食堂で食事をすることが一般的です。そんな中で、介護士は利用者に対し「大勢いる利用者の前で、介助をすることは本当にいいことなのか」といった部分を考えるような気持ちがなくてはなりません。
自分で食事をすることがままならなくなった時、その姿を人に見られたらどんな気持ちになるでしょうか。人によってはプライドが傷つく場合もあるでしょう。そういった利用者側の視点がどんどん抜けてしまうと、利用者が自分と同じ喜怒哀楽の感情を持った人間ではなく、モノのように思えてきてしまいます。
そうなると心ではなくて、作業にばかり意識が向いてしまいます。ただ単に、トイレに行けてよかった、食事を呑み込めてよかった、というように、ただ生活が送れていればOKということになってしまいます。利用者本人にこうしたいという意志がある限り、できることをしなくて良い方向に持っていくのはその人の尊厳を無視した行為です。
その時々で、いろいろなことが出来なくなっていることを一番痛切に感じているのは、利用者本人です。それを介護士は、決して忘れてはいけません。そしてたとえ、何かできなくなったとしても、人間としての価値がなくなるわけではありません。
利用者が生きていこうとする力に負担をかけないようサポートするのが介護士の役目なのです。自分本位な介護をして、その人の可能性を潰すようなことは絶対にしてはいけません。いつ何時も、相手の気持ちに寄り添える人を目指すことが大切です。